かつての日本はものづくり大国の異名を持ち、工業製品において世界一の座を揺るぎないものとしていました。しかし、中国の圧倒的な人口と広大な土地を背景に、工場団地が中国国内の随所に建設されるにつれ様相は一変してきたのです。彼ら中国人は、安価な人件費を強力な武器として、世界の工場と称されるまでに成長を遂げたのです。日本との合弁企業も数多く誕生し、大きな成長を遂げた企業も見受けられます。
そこでは、従業員を大切な人財として扱っていることが分かりますが、中国企業の多くはスタッフを単なる労働者として見ているように思われます。工場内の温度管理ひとつをとってみても、その状況には大きな差を見つけることが可能です。合弁企業では、従業員の周りの温度に気を配り、常に最適な環境下で仕事に取り組めるような配慮がなされます。それはマンパワーを最大限に引き出してもらうための創意工夫であり、会社の義務であるという認識に基づいています。
一方、中国企業においては、温度管理のような配慮は成されず、人が足りなければ補充すると言った概念が根付いているように感じられます。温度管理は、人が財産であることを示すひとつの管理手法に過ぎません。これが実行されているから利益が最大化するという事実もありません。人が生み出した会社、人が作る製品、これをより良いものにしていくため、経営者は従業員の働く環境を最適なものへと進化させていくことが求められるはずです。